「西本願寺と東本願寺、どっちに行けばいいの?」
京都を訪れる多くの観光客が抱えるこの疑問。どちらも浄土真宗の本山であり、由緒ある名刹ですが、それぞれの魅力はまったく異なります。歴史の深さや建築美、アクセスや雰囲気など、選ぶ基準は人それぞれ。
この記事では、歴史好きの中年層を対象に、西本願寺と東本願寺の違いや見どころをわかりやすく比較。訪れる前に知っておきたいポイントを丁寧に解説します。
西本願寺と東本願寺、どっちがいい?歴史・規模・格式の違いを比較!

西本願寺と東本願寺は、どちらも京都を代表する由緒ある寺院でありながら、その成り立ちや特徴には明確な違いがあります。ここでは、それぞれの歴史的背景や宗派の違い、伽藍の規模や格式の感じ方などを丁寧に比較。訪問先を選ぶ参考として、ぜひチェックしてみてください。
西本願寺 東本願寺 どっちが古い?創建と歴史の比較!
西本願寺(正式には龍谷山 本願寺)は、1591年に豊臣秀吉から寺地を寄進されて建立されたのが始まりです。秀吉は浄土真宗に理解を示しており、その保護のもと西本願寺は京都の地に立派な伽藍を構えることとなりました。この背景には、当時の宗教勢力を掌握しようとする政治的な意図もあったと考えられています。
一方、東本願寺(正式には真宗本廟)は1602年、徳川家康によって創建されました。こちらは本願寺が分裂したことによって誕生したものであり、家康の政策の一環として成立したものです。当時の幕府は、浄土真宗の影響力を分散させることを目的として、西本願寺から分派させる形で東本願寺を支援しました。
つまり、歴史的には西本願寺の方が約11年早く創建されたことになりますが、どちらの寺院も日本の宗教史において極めて重要な役割を果たしてきました。両者はともに親鸞聖人の教えを継ぐ浄土真宗の本山でありながら、政治的背景や時代の変化に伴って別々の道を歩んできたという点に、その深い歴史的意義が見て取れます。
西本願寺の創建は1591年、豊臣秀吉による寺地の寄進がきっかけとされています。詳しくは西本願寺公式サイトをご参照ください。
一方、東本願寺は1602年、徳川家康によって設立されました。背景については東本願寺公式サイトで詳しく解説されています。
西本願寺 東本願寺 どっちが大きい?敷地面積・伽藍配置をチェック
敷地面積で見ると、実は東本願寺の方がやや広いといわれています。特に東本願寺の御影堂(ごえいどう)は、木造建築としては世界最大級の大きさを誇り、その壮大さは訪れる人を圧倒します。また、阿弥陀堂や御影堂門なども含めて、非常に整った伽藍配置が特徴的で、左右対称の構造美に注目が集まります。
東本願寺は明治期以降に何度か火災に遭い、再建されてきた歴史がありますが、それによって現代的な耐震設計なども取り入れられており、古さと新しさが共存するユニークな空間が広がっています。
一方で西本願寺も、唐門や飛雲閣、書院といった歴史的価値の高い建造物を擁し、文化財としての魅力にあふれています。特に唐門は「日暮門(ひぐらしもん)」と呼ばれ、その美しさに見惚れているうちに日が暮れると言われるほどの芸術的価値があります。
境内全体としては、東本願寺が「スケールの大きさ」で印象づけるのに対し、西本願寺は「精緻で荘厳な美しさ」で心に残る印象です。広さよりも歴史建築をじっくり見たい人には、西本願寺がより魅力的に感じられるでしょう。
西本願寺 東本願寺 誰が建てた?宗派と創建の背景

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西本願寺は、本願寺第11代・顕如上人の時代に、戦国時代の権力者であった豊臣秀吉から京都の堀川沿いの寺地を寄進されて建立されました。当時、顕如は石山本願寺を退去せざるを得ず、新たな本山の拠点を探していた背景があり、秀吉の支援は大きな意味を持っていました。
秀吉は政治的に仏教勢力をコントロールする意図もあり、顕如に対する厚遇は浄土真宗の影響力を保持したいという狙いがあったとも言われています。
一方の東本願寺は、1602年に徳川家康の命によって創建されたもので、本願寺が一時的に分裂していたことに端を発します。家康は本願寺の強大な宗教権力を分割統治する形で、分派の一つとして真宗大谷派(お東)を支援し、東本願寺を建立させました。これは「寺社の力を分散し、幕府の統制下に置く」という家康の宗教政策の一環でもありました。
このように、両寺院の創建には日本史における二大権力者である秀吉と家康の意図が色濃く反映されています。結果として、西本願寺=本願寺派(通称「お西」)、東本願寺=大谷派(通称「お東」)という宗派の分立が成立し、それぞれが独自の信仰体系、教義の解釈、儀礼様式、そして建築や文化財に至るまで、異なる特色を発展させていきました。
この違いは単なる「どちらが建てたか」という問題にとどまらず、日本の宗教と政治が密接に絡み合っていた時代背景を理解するうえでも重要なポイントです。
東本願寺 西本願寺 門徒数の違いとは?信徒の多さと地域差
門徒数においては、全国的には西本願寺(本願寺派)の方がやや多いとされています。これは、本願寺派が近代以降の布教活動に積極的であったことや、寺院数の多さ、宗派の分布範囲の広さなどが影響しています。
ただし、東本願寺(大谷派)も歴史ある宗派であり、地域によっては強い信仰基盤を持っています。特に教育機関や文化活動を通じた地域とのつながりも強く、長年にわたり地域住民と密接な関係を築いてきました。そのため、単純な門徒数だけで比較するのは難しく、地域性や信仰の根付き方を踏まえて理解することが大切です。
また、北陸地方――富山県、石川県、福井県など――では、浄土真宗そのものが深く信仰されている土地柄であり、どちらの派も数多くの門徒を有しています。これらの地域では、冠婚葬祭や年中行事に「お東さん」「お西さん」という呼び名が自然と使われるほど、両派が日常に溶け込んでいるのです。
さらに、門徒数は時代や世代交代とともに流動的であり、若年層の信仰離れなどにより全体的な門徒数は減少傾向にあります。しかし、各派ともに地域活動や伝統行事を通して、今もなお人々とのつながりを大切にしながら信仰を守り続けています。
西本願寺 東本願寺 格の違い?格式や呼び方に現れる由緒
格式に関しては、どちらも浄土真宗の本山であり、宗教的な「格」に明確な優劣はありません。いずれも親鸞聖人の教えを受け継ぎ、長い歴史と伝統を持つ寺院であることに変わりはありません。
ただし、一般的な認識としては、西本願寺の方が「格式高い」と感じる人が多いようです。その理由としては、西本願寺が有する数々の国宝や重要文化財の存在が挙げられます。特に、国宝に指定されている唐門や飛雲閣、書院などの建造物は、江戸時代以前の建築様式を色濃く残し、その芸術的・文化的価値が非常に高いと評価されています。また、庭園や内部装飾の美しさにも定評があり、建築美の面からも「由緒正しい」とされる印象を与えています。
一方の東本願寺は、御影堂をはじめとする伽藍のスケールが非常に大きく、その壮大さと荘厳さで訪れる人々に強烈な印象を与えます。特に御影堂は、木造建築としては世界最大級の規模を誇り、訪れた人を圧倒する堂々たる佇まいを見せます。このような「スケールの大きさ」も、ひとつの格式の表れとして捉えることができるでしょう。
また、「お西さん」「お東さん」として親しまれる呼び方も、それぞれの信者の間で親近感や敬意を込めた表現として浸透しています。地域や家庭の伝統によっては「うちはお西」「うちはお東」といった言い方もされ、格式というよりは「つながりの深さ」や「心のよりどころ」として両派の存在が受け入れられていることがわかります。
したがって、格式の違いは形式的なものというより、文化的背景や建築美、信仰の伝わり方といった多角的な視点から理解する必要があるでしょう。
「仏壇 違い」「お経 違い」などの視点
- 東本願寺 西本願寺 お経違い:
両寺で読まれるお経の内容には微細な違いがあり、節回しや唱え方が異なります。特に法要の際に耳を澄ませると「ちょっと違う」と感じる人も多く、それぞれの寺院が大切にしている伝統が反映されていることがわかります。 - 東本願寺 西本願寺 仏壇 違い:
宗派によって仏壇の形式(宮殿型・金仏壇など)や飾り方が異なる場合があります。特に、お西では質実剛健なデザインが好まれ、お東では装飾が比較的華やかになる傾向があります。浄土真宗の中でも、推奨される様式が分かれていることから、購入時には所属する宗派に確認するのが望ましいです。
東本願寺と西本願寺の違いは何ですか?
→ 最もよく聞かれる質問です。 大きな違いは、創建の時期・宗派の系統・建築様式・格式の感じ方にあります。西本願寺は豊臣秀吉の庇護のもと、東本願寺は徳川家康の意向によって創建されたという背景があり、それぞれに独自の宗派(本願寺派と真宗大谷派)として発展してきました。
建築的にも、西本願寺は国宝建造物が多く格式を感じさせる一方で、東本願寺は伽藍のスケールの大きさで圧倒されるような印象を与えるなど、それぞれの個性があります。
いずれも親鸞聖人の教えを大切にしつつ、長い歴史の中でそれぞれ独自の魅力と役割を育んできた存在です。訪れる人の目的や好みによって、その魅力の感じ方も異なるでしょう。
西本願寺 東本願寺 どっちがいい?それぞれの見どころと楽しみ方!

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歴史ある寺院を訪れる醍醐味は、その建築美や空気感、文化的背景に触れられることにあります。西本願寺と東本願寺は、それぞれに異なる「見どころ」と「楽しみ方」があり、感じられる魅力も違います。ここでは、実際に訪れたときに注目したいポイントや、写真映え・アクセスの良さなども含めて詳しくご紹介します。
西本願寺の見どころ|唐門・飛雲閣など国宝建築の魅力!
西本願寺には、日本建築史において高く評価される文化財が数多く残されています。
なかでも注目すべきは、「日暮門(ひぐらしもん)」とも呼ばれる唐門です。その繊細な彫刻と色彩美は、時間を忘れるほど見入ってしまうほどの完成度。国宝に指定されており、多くの観光客や歴史愛好家を惹きつけます。
さらに、非公開建築として有名な飛雲閣も見どころのひとつ。通常は外観のみの見学となりますが、桃山文化の粋を集めた建築美は「西本願寺の宝」と言われるほどです。
東本願寺の見どころ|御影堂・阿弥陀堂のスケール感!
一方、東本願寺でまず目を引くのは、その圧倒的なスケール感です。特に御影堂(ごえいどう)は木造建築として世界最大級の規模を誇り、正面に立つとその壮大さに思わず息をのむほど。
隣接する阿弥陀堂も堂々とした存在感を放ち、内部では荘厳な仏具や美しい装飾が静かに佇んでいます。建築の美しさだけでなく、空間全体に流れる空気感そのものが、訪れた人の心を落ち着かせてくれるでしょう。
写真映え・雰囲気で選ぶなら?静かさ・荘厳さの違い

「写真映え」を重視するなら、どちらの寺院もおすすめですが、その雰囲気は対照的です。
西本願寺は歴史的な建物が多く、どこを切り取っても「古都らしい情緒」が感じられます。一方、東本願寺はスケールが大きく、広角レンズで撮るとその迫力がより一層引き立ちます。
また、観光客の混雑度合いも異なり、西本願寺の方が比較的静かで落ち着いた雰囲気の中で写真撮影が楽しめる傾向があります。
東本願寺は何で有名ですか?
→ 東本願寺はその圧倒的な規模の木造建築と、真宗大谷派の本山としての信仰の中心地であることで広く知られています。特に御影堂は、木造建築としては世界最大級の規模を誇り、訪れた人々に強烈な印象を与える存在です。その巨大な屋根や精巧な木組みは、日本の伝統的な建築技術の粋が集まっており、歴史や建築に興味がある方にとっては見逃せないスポットです。
また、御影堂内の荘厳な仏壇や仏具も大きな魅力のひとつ。宗教的な荘厳さだけでなく、訪れる者の心を静かに包み込むような空気感があります。定期的に行われる法要や仏教行事も見どころであり、真宗の教えに触れたい方には特におすすめです。
さらに、東本願寺は京都駅から徒歩5分という抜群のアクセスの良さも大きなポイントです。初めての京都観光でも立ち寄りやすく、観光ルートに組み込みやすい利便性があります。そのため、国内外を問わず多くの観光客が訪れ、京都の名所のひとつとして高く評価されています。
🟪まとめ|西本願寺 東本願寺 どっちがいい?

西本願寺は、数多くの国宝建築や文化財を有し、静かで落ち着いた雰囲気の中で歴史の重みを感じられる場所です。
東本願寺は、木造建築として世界最大級の御影堂や広大な伽藍を備え、宗教的な荘厳さとスケール感を味わえるのが特徴です。
両寺ともに浄土真宗の本山でありながら、それぞれ異なる建築美と信仰の伝統を継承している点が大きな違いです。
たとえば、歴史的建築をじっくり見学したい、落ち着いた雰囲気の中で文化財を楽しみたいという方には西本願寺がおすすめです。日暮門や飛雲閣などの文化財は、歴史好きの心を惹きつける魅力があります。
一方、迫力ある建築を体感したい方、荘厳で力強い宗教空間に身を置きたい方には東本願寺が向いています。御影堂の巨大な屋根や柱は、訪れる人の目と心に強く残ることでしょう。
また、両寺院はともに京都駅から徒歩圏内にあり、観光ルートに組み込みやすいという点も見逃せません。旅行の合間に立ち寄ることも可能で、京都観光の拠点としても優れています。
つまり、西本願寺と東本願寺は、どちらを選んでもそれぞれの魅力を感じられる素晴らしい名所です。あなたの旅のテーマや、感じたい京都の雰囲気、宗教的な関心や建築美への関心に合わせて選ぶことで、より満足度の高い歴史体験が得られるはずです。どちらも訪れる価値は十分にあります。
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