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私たちの身の回りには、スマートフォンやラジオ、カーナビなど、当たり前のように「電波」を使う機器があふれています。しかし、その仕組みやルールについて、どこまで正しく理解しているでしょうか。
「なんとなく便利」「普通に使えているから大丈夫」と思っている一方で、実は知らないうちにグレーな状態で使っているケースも少なくありません。近年では、電波に関する制度や技術が大きく変化し、従来の常識が通用しなくなりつつあります。
本記事では、ワイドFMや微弱電波といった身近なテーマを切り口に、「知っているようで知らない電波の新常識」を、できるだけ分かりやすく整理していきます。
ワイドFMの魅力と、忍び寄る「違法デバイス」の罠

私たちの暮らしは、目に見えない「電波」という公共財によって支えられています。スマートフォンの通信から緊急時のラジオ放送まで、その利便性を当たり前のように享受していますが、実はその裏側には、知らぬ間に踏み越えてしまいがちな「法的リスク」が潜んでいます。
もし、あなたが手にしたその安価なガジェットが、100万円の罰金や、最悪の場合は懲役刑を招く原因になるとしたら?
本記事では、デジタルライフをより快適にする「ワイドFM」の最新事情から、日常に紛れ込む「違法デバイス」の罠まで実態を解き明かします。
AMが生まれ変わる?「ワイドFM」が災害時に強い本当の理由
「ワイドFM(FM補完放送)」とは、AM放送の放送エリアにおいて、難聴対策や災害対策のために、新たにFM放送用として割り当てられた周波数(90.0MHz〜94.9MHz)を用いてAM番組を放送することです。
「単に音が良くなるだけでしょ?」と思われがちですが、実は日本という国において、命を守るための極めて重要なインフラアップデートなのです。主なメリットは以下の4点に集約されます。
1. 都市型難聴の改善: 高層ビル等の建築物による電波の遮へいや、電気雑音の影響を受けにくい。
2. 外国波混信の改善: 夜間に発生しやすい外国のAM放送局との混信による受信障害を解消。
3. 地理的・地形的難聴の改善: 山間部などの地形で生じる電波の遮へいによる受信障害を改善。
4. 災害対策: 地震や津波で中波(AM)放送設備が被災しても、FM放送を通じて情報を届け続けられる。
【ここが注意点!】 ここで注意すべきはハードウェアの互換性です。従来の古いFMラジオ(76.0〜90.0MHz対応)では、ワイドFMの周波数は受信できません。これからラジオを新調するなら、必ず**「ワイドFM対応」または「周波数94.9MHz以上対応」**のモデルを選ぶことが、賢いデジタルライフの第一歩です。
「微弱電波」の落とし穴。そのデバイス、実は「不法無線局」かも?
電波法では原則として免許が必要ですが、電波が「著しく微弱」な機器に限っては、免許不要での運用が認められています。これが「微弱無線局」です。
現在の基準(3m法)では、無線設備から3mの距離で電界強度が500μV/m以下(322MHz以下の周波数の場合)であることが絶対条件です。
しかし、ここには大きな落とし穴があります。1986年の規則改正以前の「100m法」という古い基準で作られた機器や、日本の法規制を無視した海外規格品です。
実は100m法の経過措置(10年間の猶予)はすでに1990年代に失効しており、これらの古い機器は現代の基準では明確に**「不法無線局」**となります。
「発射される電波が著しく微弱の基準内であれば無線局の免許は必要ありませんが、許容値を超えている場合は無線局の免許が必要になります。」(電波環境協議会ソースより)
ネット通販等で購入した安価な海外製ワイヤレス機器は、この基準を軽々と超えているケースが多く、使用した瞬間にあなたが「不法無線局の開設者」になってしまうリスクを孕んでいるのです。
あなたのガジェットが消防車を止める?驚愕の混信事例

「自分一人が基準外の電波を出したところで、誰にも迷惑はかからない」という考えは、あまりに危険です。不適切な電波発射は、私たちの安全を支える**「重要無線通信」**を麻痺させる引き金となります。
総務省の調査では、日常生活に深く浸透した機器が思わぬ妨害を引き起こした事例が報告されています。
• 音楽プレーヤー用FMトランスミッター: 基準を超えるスプリアス発射(意図しない電波の漏れ)が、あろうことか消防無線を妨害。
• 屋外用テレビ受信ブースター: 機器の発振電波が、自治体の地方行政無線の運用に支障をきたしたケース。
• 温水洗浄便座の基板: 電子機器のメイン基板から漏洩した不要電波が消防無線を妨害。
• 海外規格の無線機(FRS, GMRS等): レジャー等で使用された日本未認可の無線機が、携帯電話システムや重要無線の通信を遮断。
生活を豊かにするためのデバイスが、緊急車両の出動を妨げ、誰かの救命を遅らせる――。このアイロニカルで深刻な事態は、「知らなかった」では済まされない社会的責任を伴います。
賢い買い物の目印「ELPマーク」をチェックせよ
では、どうすれば違法な製品を避けることができるのでしょうか?推奨する最強のチェックポイントが、**「ELPマーク(微弱無線マーク)」**です。
これは、**電波環境協議会(EMCC)や全国自動車用品工業会(JAAMA)**などの民間団体が運用している登録制度の証です。このマークには、以下のような確かな裏付けがあります。
• 指定試験機関による公正な試験: メーカー独自の裁量ではなく、第三者機関による客観的な試験を通過。
• 粗悪品の排除: 基準外の電波を発射する違法な輸入品や粗悪品を市場から締め出すフィルタリング機能。
このマークへの信頼は年々高まっており、登録製品の累計出荷台数は2023年に600万台を突破(約608万台)しました。信頼できるメーカーは、このマークを「安心の証」として提示しています。買い物の際は、スペック表やパッケージの隅にある「ELP」の3文字を必ず確認しましょう。
最大5年の懲役も。電波法違反の重すぎる代償
もし、意図せず不法無線局を運用してしまった場合、待ち受けているのは非常に厳しい法的罰則です。電波法は、公共の財産を守るために厳格な規定を設けています。
• 免許なしの開設(不法無線局の開設・運用): 1年以下の懲役または100万円以下の罰金。
• 重要無線通信への妨害: 消防、救急、海上保安、航空などの通信を妨害した場合、5年以下の懲役または250万円以下の罰金。
注目すべきは、単なる「免許なしの運用」から「重要無線の妨害」へと発展した瞬間に、罰則の重さが跳ね上がる点です。
意図的な妨害でなくとも、基準外の機器を設置した時点であなたは「加害者」予備軍となります。警察や海上保安庁との共同取締りも頻繁に行われており、決して他人事ではありません。
ELPマークの重要性と都道府県別おすすめ周波数の選び方

電波を使う機器を安全かつ適切に利用するうえで、近年とくに重要視されているのが「ELPマーク」です。
このマークは、機器が一定の基準を満たしていることを示す目印ですが、意外と意識せずに購入・使用している人も多いのが実情です。
また、同じ機器でも使う地域によって適した周波数が異なるため、「どこでも同じ設定で使える」と考えるのは危険な場合もあります。
この章では、ELPマークがなぜ重要なのかを整理したうえで、都道府県ごとに周波数を考える必要性や、快適に使うための基本的な考え方を分かりやすく解説します。
ELPマークのある代表的な製品3つ
1. FMトランスミッター 音楽プレーヤーやスマートフォンの音声をFMラジオで聴くための装置です。特に車載用として普及しており、消防無線などへの妨害事例も報告されているため、ELPマークによる基準適合の確認が推奨されている分野です。
2. ラジオマイク(ワイヤレスマイク) コードレスで音声や音楽を伝送するマイクです。イベントやカラオケ、簡易的な放送(ミニFM)などで利用されています。
3. ラジコン用発振器 模型飛行機や模型ボートなどの無線操縦に使用される送信機です。産業用からホビー用まで幅広く利用されています。
金額とECサイトでの販売について
これらの製品は「一般消費者が購入・使用」するものとして「市場に多数流通」しており、「市販されている」とされています。
また、総務省が「試買テスト」(市場から製品を買い取って電波強度を測定する調査)の対象としていることから、広く一般の店舗やインターネット上で流通していることがわかります。
• 金額の目安: 一般的なECサイト(Amazonや楽天市場など)では、FMトランスミッターは1,500円〜4,000円程度、簡易的なワイヤレスマイクは2,000円〜10,000円程度、ホビー用ラジコンは3,000円程度から販売されています。
• ECサイトでの判別: 大手ECサイトでは「ELPマーク取得済み」と商品説明に記載されている製品もありますが、海外製品などマークのない違法な強電波を発する機器も混在しているため、購入時には注意が必要です。
快適に使うための設定:空き周波数の探し方

FMトランスミッターで良い音を楽しむコツは、地元のFM放送局が使用していない「空き周波数」に合わせることです。
「ワイドFM」に注意
現在は従来のFM放送(76.1〜90.0MHz)に加え、AM放送をFMで補完して流す「ワイドFM(90.0〜94.9MHz)」が普及しています。
• メリット: 都市型難聴や地理的難聴の改善、災害対策として導入されています。
• 設定のコツ: トランスミッターを設定する際は、これらの放送局の周波数から0.1〜0.2MHz以上離すことで、ノイズ(混信)を抑えられます。
【保存版】47都道府県別・主要放送局の周波数リスト
| 都道府県 | 避けるべき主要周波数 (MHz) | おすすめの探し方(例) |
|---|---|---|
| 北海道 | 80.4, 82.5, 90.4, 91.5 | 85.0MHz付近など |
| 青森 | 80.0, 91.7 | 88.0MHz付近など |
| 岩手 | 76.1, 90.6 | 83.0MHz付近など |
| 宮城 | 77.1, 93.5 | 85.0MHz付近など |
| 秋田 | 82.8, 90.1 | 78.0MHz付近など |
| 山形 | 80.4, 92.4 | 85.0MHz付近など |
| 福島 | 81.8, 90.8 | 85.0MHz付近など |
| 茨城 | 94.6, 88.1 | 80.0MHz付近など |
| 栃木 | 76.4, 94.1 | 82.0MHz付近など |
| 群馬 | 86.3 | 78.0MHz付近など |
| 埼玉 | 79.5 | 85.0MHz付近など |
| 千葉 | 78.0 | 85.0MHz付近など |
| 東京 | 80.0, 81.3, 89.7, 90.5, 91.6, 93.0 | 78.0MHz, 85.0MHz付近など |
| 神奈川 | 84.7, 92.4 | 78.0MHz付近など |
| 山梨 | 83.0, 90.9 | 78.0MHz付近など |
| 新潟 | 77.5, 92.7 | 85.0MHz付近など |
| 長野 | 79.7, 92.2 | 85.0MHz付近など |
| 富山 | 82.7, 90.2 | 78.0MHz付近など |
| 石川 | 80.5, 94.0 | 85.0MHz付近など |
| 福井 | 76.1, 94.6 | 82.0MHz付近など |
| 岐阜 | 80.0, 90.4 | 85.0MHz付近など |
| 静岡 | 79.2, 93.9 | 85.0MHz付近など |
| 愛知 | 77.8, 80.7, 92.9, 93.7 | 85.0MHz付近など |
| 三重 | 78.9 | 85.0MHz付近など |
| 滋賀 | 77.0 | 85.0MHz付近など |
| 京都 | 89.4, 94.9 | 80.0MHz付近など |
| 大阪 | 76.5, 80.2, 85.1, 90.6, 91.9, 93.3 | 78.0MHz, 88.0MHz付近など |
| 兵庫 | 89.9, 91.1 | 82.0MHz付近など |
| 奈良 | (大阪の放送が混信しやすい) | 88.0MHz付近など |
| 和歌山 | 94.2 | 80.0MHz付近など |
| 鳥取 | 78.8, 92.2 | 85.0MHz付近など |
| 島根 | 77.4, 87.1 | 82.0MHz付近など |
| 岡山 | 76.8, 91.4 | 82.0MHz付近など |
| 広島 | 78.2, 94.6 | 85.0MHz付近など |
| 山口 | 79.2, 92.3 | 85.0MHz付近など |
| 徳島 | 80.7, 93.0 | 85.0MHz付近など |
| 香川 | 78.6, 90.3 | 85.0MHz付近など |
| 愛媛 | 79.7, 91.7 | 85.0MHz付近など |
| 高知 | 81.6, 90.8 | 85.0MHz付近など |
| 福岡 | 76.1, 78.7, 80.7, 90.2, 91.0 | 85.0MHz付近など |
| 佐賀 | 77.9, 93.5 | 85.0MHz付近など |
| 長崎 | 79.5, 92.6 | 85.0MHz付近など |
| 熊本 | 77.4, 91.4 | 85.0MHz付近など |
| 大分 | 88.0, 93.3 | 80.0MHz付近など |
| 宮崎 | 83.2, 90.4 | 78.0MHz付近など |
| 鹿児島 | 79.8, 92.8 | 85.0MHz付近など |
| 沖縄 | 87.3, 92.1, 93.1 | 80.0MHz付近など |
※地域ごとの詳細な中継局の周波数については、総務省の最新リストをご確認ください。
まとめ:目に見えない「公共財」を守るために
FMトランスミッターを購入する際は、必ず「ELPマーク」の有無を確認しましょう。そして、使用する地域の放送局と重ならない周波数に設定することで、法を遵守しながら最高のカーライフを楽しむことができます。
電波は限られた資源であり、誰もが公平に利用できる「公共財」です。ワイドFMのような新しい技術は、正しく使えば私たちの生活を劇的に向上させ、災害時には命を救う灯火となります。
しかし、その恩恵を維持するためには、利用者一人ひとりの「電波に対するリテラシー」が欠かせません。次にワイヤレスガジェットを購入するとき、あるいは古いラジオを買い替えるとき、そのデバイスが「正しい波」を発しているか、一呼吸置いて確認してみてください。
あなたのその小さな選択が、日本の安全な電波環境を守り、ひいては誰かの救急搬送をスムーズにすることに繋がっているのです。
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